2024年5月17日(金)小型SAR衛星7号機 「ツクヨミ-Ⅱ」の初画像を公開します
QPS研究所は、2024年5月17日(金)に小型SAR衛星QPS-SAR7号機「ツクヨミ-Ⅱ」の最初の画像(ファーストライト※1)を公開いたします。「ツクヨミ-Ⅱ」は2023年に打上げられたQPS-SAR6号機「アマテル-Ⅲ」、QPS-SAR5号機「ツクヨミ-Ⅰ」に続いて、衛星コンステレーションを構築するための3機目の商用機となります。
QPS 研究所が北部九州を中心とした全国25 社以上のパートナー企業と共に開発・製造した「ツクヨミ-Ⅱ」は米国SpaceX社のロケット「Falcon 9(ミッションネーム:Bandwagon-1)」によって2024年4月8日(月)8:06a.m.(日本時間)に打上げられ、同10:02a.mに予定されていた軌道に投入されました。そしてその約1時間後には初交信に成功し、同日深夜に収納型アンテナの展開をいたしました。その後、衛星機器の微調整を続け、本日、この度取得した画像の公開に至りました。
この後は、引き続き衛星の姿勢制御の調整を行いつつ、アジマス※2、レンジ※3分解能※4共に46cmの高解像度モードでの観測を開始いたします。
(※1) ファーストライト:初画像のことを言います。公開した画像データは衛星の機能を試験・調整している中で初で確認できた試験データになります。
(※2) アジマス:衛星の進行方向。
(※3) レンジ:衛星のマイクロ波を照射する方向。もしくは、衛星の進行と直交する方向。
(※4) 画像化した際の1ピクセルの大きさを指します。ファーストライトで試験観測した通常モードでは、アジマス分解能1.8m相当に画像化しますが、レンジ分解能は観測条件によって可変となります。
【ファーストライト詳細】
観測日時 | ①② 2024年5月14日(火)10:43(日本時間) ③ 2024年5月15日(水)09:10(日本時間) |
観測場所 | ① 鹿児島県 鹿児島市 (観測時の天候:晴れ) ② 鹿児島県 桜島 (観測日の噴煙最大高:1000m、風向:南東) ③ 大阪府 堺市 (観測時の天候:曇り) ※天候は気象庁および気象情報サイト公開データより |
分解能 | ①② アジマス分解能1.8m x レンジ分解能63cm(オフナディア角20.9度) ③ アジマス分解能1.8m x レンジ分解能35cm(オフナディア角39.8度) |
画像説明補足 | 「ツクヨミ-Ⅱ」は分解能1.8mの通常モード(ストリップマップモード)と分解能46cmの高精細モード(スポットライトモード)の観測ができ、この度は通常モードでの観測となります。 |
画像処理協力 | アルウェットテクノロジー株式会社 |
【ファーストライト SAR画像】
① 鹿児島県 鹿児島市
鹿児島中央駅や天文館などの都心部と桜島の裾野に広がる植生、それらを分かつ鹿児島湾(海面)が確認できます。
② 鹿児島県 桜島
通常モード(ストリップマップモード)は広域観測が可能なため、①鹿児島市と併せて観測。観測日も噴煙は上がっていましたが、SARの特性で噴煙を透過しています。
③ 大阪府 堺市
湾岸部の製油所や火力発電所から、日本最大の古墳である仁徳天皇陵を含む世界遺産を構成する古墳群まで、堺市を幅広く観測できています。
【QPS-SAR7号機「ツクヨミ-Ⅱ」初期運用チーム代表エンジニア 高比良 亮祐コメント】
「QPS研究所では、エンジニアの中から衛星機体ごとに初期運用の主担当を決めているのですが、7号機を担当すると決まった時から、ファーストライトはどこを観測しようかとワクワクしていました。いつもより特別な想いで宇宙に送り出し、無事に初交信、アンテナ展開と進みました。同じ構成とは言え、衛星ごとに少しずつ特性があるため、初期運用ではそれに丁寧に向き合います。ありがたいことに今回も順調に運用を進めることができ、観測を開始しました。画像化を行い、特に自分の縁のある堺市が画像としてあがってきた時にはSARではこのように見えるのか、と新鮮な気持ちで街を見直しました。SAR衛星ならではの楽しさを感じています。この後は次の高精細モードでの画像取得へもチームで引き続き尽力いたします。」