QPS研究所は鹿児島県立楠隼中高一貫教育校「シリーズ宇宙学」で、衛星開発パートナー企業と共に新たな人材育成プログラムを開始します
鹿児島県立楠隼中高一貫教育校とQPS研究所は、楠隼高の「シリーズ宇宙学」の一環として、全国初※1の宇宙スタートアップ・企業と体系的な連携・協力した新たな人材育成プログラムを始動することとなりましたのでお知らせいたします。
このプログラムでは、楠隼高校1年生60名を対象に、九州で宇宙開発に取り組むQPS研究所とその開発パートナー企業である、オガワ機工株式会社、株式会社昭和電気研究所、株式会社Fusicの3社の技術者等が、6月8日(木)から7月初旬まで全4回の特別講義(起業、ものづくり・技術開発、事業戦略・営業、DX・衛星データ活用等)を実施。参加生徒が、宇宙及び衛星ビジネスへの理解を深め、今秋以降に生徒自身がテーマを設定した探求活動に取り組むことで、広い視野や好奇心、冒険・探究心、ものづくりの心を育むことを目指します。
このプログラムを通じて、楠隼高は、2015年創立以来実施の「シリーズ宇宙学」の拡充を図ると共に、QPS研究所及びQPS研究所のパートナー企業は自事業の理解増進、次世代を担う宇宙産業人材の育成を図り、将来必要となる宇宙産業人材の輩出にも寄与することで、九州で宇宙産業を根付かせ、産業全体も底上げすることにも貢献していきます。また、この取り組みは、2023年3月に内閣府及び経済産業省が選定する「宇宙ビジネス創出推進自治体(S-NET自治体)」に選ばれ、宇宙関連産業への参入支援による新産業創出を目指す鹿児島県(商工労働水産部)に加え、スペースサイエンスタウン構想実現を目指す肝付町(宇宙のまちづくり推進課)の支援も得ながら、実施いたします。
※1:宇宙スタートアップ・企業が、単発ではなく、複数社の体制かつ体系的、継続的に宇宙・高校教育に参画する前例ない全国初の取組み(肝付町調べ)
[関係者コメント]
◆鹿児島県立楠隼中高一貫教育校 校長 德留敏郎氏
本校の特色ある教育活動「シリーズ宇宙学」では、生徒たちに広い視野や好奇心、冒険・探究心、ものづくりの心を育むことを目的としています。高校では、中学3年間で学習・研究してきたことを元に自ら課題テーマを設定し探究活動を行いますが、今回、株式会社QPS研究所を始めとした関係団体・機関のご協力をいただき、主に宇宙開発利用分野に関する講義やワークショップを受けることによって、生徒たちは自らの研究方針等を具体的にイメージできるとともに、宇宙ビジネスの分野に対する興味・関心を持つことにつながるものと期待しています。
◆肝付町長 永野和行氏
『肝付町で学んだ学生が、世界で活躍する宇宙産業を担う人材となり、肝付町と繋がっていく。』
2023年は、当町に立地するJAXA内之浦が開所して60年。400機以上のロケットが打ち上がり、日本の宇宙開発の父・糸川博士から脈々と紡がれ、現在各界で活躍する研究者・技術者を多く育成、輩出するなど、町も一丸となり伴走してきました。2022年10月、当町からイプシロンロケットで打ち上げた初の商業衛星である㈱QPS研究所とのご縁もあり、創立以来支援してきた楠隼中高にて、全国に先駆け、新しい人材育成プログラムが始動することに大変喜ばしく感じております。元祖・スペースポートの当町が目指す「実践的・高度教育環境を提供する次世代人材育成拠点化」に向けた大きな一歩となることを期待しています。
◆鹿児島県商工労働水産部 部長 平林孝之氏
鹿児島県には、全国で唯一、2つのロケット打上げ施設があり、宇宙関連産業の成長力を本県の経済に取り込める可能性を大いに有しています。日ごろから本県宇宙ビジネスの創出にご助言いただいているQPS研究所様のご協力によるプログラムが、国内でもユニークな教育活動を行い、宇宙学のカリキュラムを有する楠隼高校において実施され、鹿児島の宇宙関連産業を担う次世代の人材の育成・輩出につながるものと思っております。
◆株式会社QPS研究所 代表取締役社長 CEO 大西俊輔
現在、世界の宇宙産業は民間企業の活発な動きにより急激な発展を遂げています。ここ数年で打上がる衛星の数は格段に増加し、衛星データが様々な業界と結びつき、私たちの生活や社会、文化が変化しています。日本の宇宙ビジネスも世界に取り残されることなく、私たちがこの分野でリードするためにも、蓄積された高い技術を受け継ぎ、それを活かすための宇宙人材育成にスピード感を持って取り組む必要性を日々実感しています。今回の新たなプログラムはそのための有効な手段になると考え、弊社、開発パートナー企業共に、力を入れて取り組んでまいります。
◆株式会社QPS研究所 ファウンダー / 九州大学名誉教授 八坂哲雄
1960年代、私は大学院の時代から東京大学宇宙航空研究所助手の頃まで、ロケット打上げのために内之浦の射場に頻繁に訪れていました。九州にはこのような素晴らしいインフラがありながら宇宙産業がなかったことから、九州域に宇宙産業を根付かせたいと考え、仲間と共に2005年にQPS研究所を立ち上げたわけですが、今回、この思い出の多い土地で未来を担う学生たちに宇宙産業の魅力を伝え、そしてさらに技能・技術の伝承につながる機会にお声がけいただき嬉しく思っています。日本の宇宙ビジネス発展のためにも、このプログラムがより活発的に継続することを願っております。
[関係者紹介]
◆鹿児島県立楠隼中高一貫教育校 http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/nansyun/
鹿児島から世界を見通すリーダーを育成することを目的に、併設型中高一貫教育校として2015年に開校した全寮制の男子校。中高ともに全国から生徒を募集しており、中学では1学年2学級で定員は60名、高校からは、楠隼中学校からの入学者も含めて90名を募集している。校名である「楠隼」は、鹿児島県の県木かつ肝付町の町木である「楠」と、地元肝付町から打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」、そして薩摩藩の勇敢な武士を表わす「薩摩隼人(さつまはやと)」の「隼」を象徴として名付けられた。少人数教育を基本とした、県内でも有数の進学校。全校生徒のうち関東や関西など県外から学びにくる生徒は、およそ3分の1。県内から進学する生徒も、県全域にまたがる。卒業生の進学実績は、東京大学(第1期卒業生から直近3年連続合格)をはじめとして有名な国公立大学、私立大学が並ぶ。
[講師の会社紹介]
◆オガワ機工株式会社 https://www.ogawakiko.com/
「運ぶ」に特化した自動省力機械メーカーとして創業して以来、タイヤ工場やEコマースセンター、食品メーカー、自動車工場など多様な業界向けMHE(マテリアルハンドリング機器)を構築。強みは、お客様の望む装置をオーダーメイドで設計・製造工程から施工、アフターサービスに至るまで、「自社一貫体制」で対応している点。2011年8月、筑後地区の中小製造企業を中心に小型人工衛星のものづくりに挑戦するグループ「円陣」に参加。QPS-SAR衛星では、衛星を支える筐体設計と組立、電気系動作を実現するアクチュエータの開発を担当。本社は福岡県久留米市。
◆株式会社昭和電気研究所 https://www.showalabo.co.jp/
「社会や人々の生活に役立つもの」「他社に類を見ないもの」の製作をモットーとする研究開発型電子機器メーカー。 センシング技術(画像・音響・振動等)+装置化が得意としており、開発・製造・メンテナンスまで一貫体制を確立。宇宙事業については、約 15 年の実績があり、QPS-SAR衛星では、太陽電池パネル、バッテリーパック等の電源系、及び制御ユニット(電源・姿勢)の設計・製作のほか、構体内の配線設計・組立などを担当。太陽電池パネル・バッテリーパック等の製作、制御ユニット(電源・姿勢)の設計・製作のほか、機体内の配線設計・組立などを担当。本社は福岡市西区。
◆株式会社Fusic https://fusic.co.jp/
九州大学大学院在学中の2人が2003年に創業。クラウドコンピューティングにおける開発・運用、AIの研究・開発において多くの実績があり、人工衛星のプロジェクトでは、Webブラウザ上で衛星に送信する命令を作成し、限られた通信可能時間内に送信できるシステムを構築。また、クラウドを使ったシステムとして初めて内閣府より「衛星リモートセンシング記録を取り扱う者」の認定を取得。2023年3月、東証グロース市場、福証Q-Boardに重複上場。新しい発想で常識に切り込んでスピーディーに可能性を広げるテクノロジーカンパニー。本社は福岡市中央区。