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オガワ機工主催 第29回生成発展実践会議 特別講演会

 2024年7月、QPS研究所の衛星開発パートナー企業であるオガワ機工株式会社によって第29回生成発展実践会議 の特別講演会が福岡県久留米市で開催され、CEO 大西俊輔とファウンダー 八坂哲雄が登壇させて頂きました。オガワ機工様では、“経営の神様”松下幸之助が提唱する「生成発展」の理念を実践されており、その一環としてゲスト講師を招いて講演会を開催しています。

 今回は「宇宙を舞台に活躍する職人たち~100年先へバトンを繋げ~」と題して、オガワ機工様のお取引先を主とした参加者の方々に向けて開催されました。日本の宇宙開発の黎明期から活躍し続ける九州大学名誉教授の八坂と、その教え子であり小型SAR衛星プロジェクトを立ち上げた大西の話を、衛星開発のパートナーであるオガワ機工の伊藤慎二副社長がファシリテーターとして深堀りすることで、参加者の皆様がこの会を通じて明日の仕事へのヒントや活力につながるものを見つけて頂ければとの想いで企画されたものです。

 まずはじめに大西から、当社のビジネスについて紹介させて頂きました。QPS研究所は「九州に宇宙産業を根付かせる」ことをミッションに掲げていることと、オガワ機工様をはじめとする北部九州宇宙クラスターの協力により、世界中を見渡しても稀有な「地域での宇宙産業化」が進んでいることをご紹介すると、久留米市での開催ということもあって、会場では投影資料の地図を指でさしながら頷く姿も見られました。

 続いて、今回のメインイベントであるトークセッションへ。壇上には大西に加えて、八坂とオガワ機工の伊藤副社長が登場しました。八坂の半生はそのまま日本の宇宙開発の歴史であり、伊藤副社長が巧みに話を引き出します。時価総額が世界最大規模であった頃のNTTの研究所に在籍していた時は、今となっては未来を予測していたかのような衛星の構想の話もあったとのこと。宇宙を相手にしたスケールの大きな話において「大枠を検討するために、衛星を一本の棒と捉え、単純化して考える。そうすることで、余分な情報が削ぎ落とされて物事の本質が見えてくる」という思考法を紹介した際には、ペンを走らせる参加者の方もいらっしゃいました。

 八坂の九州大学教授への就任を経て、トークのテーマは大学発超小型衛星プロジェクト「QSAT-EOS」に。大西は、数世代の学生に受け継がれながら開発と進化を続けた同プロジェクトの最後の学生リーダーで、ここで地場のものづくり企業とのコラボレーションや、それを生み出す北部九州ならではの土壌にほれ込み、この地に芽吹き始めた宇宙産業を維持発展させるべく、QPS研究所への入社を決意したという話しました。

 大西がQPS研究所へ入社してからの話は、伊藤副社長も交えてQPS-SARプロジェクトの開発にまつわるエピソードも。伊藤副社長が「初期の試作段階はたくさん作ってたくさん失敗もしましたね。でもそれが、その後の学びにつながると教えて下さいました。ねえ、八坂先生?」と水を向けると、八坂は「研究や開発は問題が発生したときがやはり面白いんだよ。例えばものを作ったとして、試験でそれが壊れなければそれは良いことかもしれない。でも“どのように壊れるか”を知ることで、“どのような条件までであれば使えるか”が分かる。失敗をすることで、その時点での限界が見えるし、それ以降により良いものを作るための改善のポイントが見えるんだ。こんなに面白いことはないよ」とニコニコと満面の笑みで答えました。

 話題は現在から未来へと膨らみ、「これからの宇宙開発について」というテーマでは、八坂が長年温め続けている木星探査についてのトークが。「火星を探査して分かるであろうことは、現時点でもおおよそ検討はついている。ところが、木星は全くと言っていいほど未知の塊なんです。太陽と組成がほぼ同じで、なおかつ恒星ではないため探査機を中に飛ばすことができる。そこではノーベル賞級の発見がいくつあってもおかしくないんです!」と八坂がワクワクした表情で語ると、大西も笑顔を浮かべながら「一世代だけでは成し遂げられない壮大なものかもしれません。だからこそ、このバトンを次の世代へ渡していくことが大切なんです」と、言葉をつなぎました。

 140名近くの方々にご参加頂き、満席となった会場。約2時間にわたる長丁場の講演会でしたが、「宇宙開発って、どういう人たちがどんなことを考えながらしているのだろうと思っていた。普段はなかなか機会がない話を聞けて勉強になった」というお声や、「木星の話はワクワクしました!家に帰ったら、宇宙に興味を持っているうちの子どもに“これからは木星だ”と教えてあげたいと思います」というお声など、大変嬉しい反応を頂けました。今後も九州の皆さまとともに、この地に宇宙産業を根付かせるべく活動してまいりたいと思います。