九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島

2025年10月16日(木)、鹿児島で「九州宇宙ビジネスキャラバン2025鹿児島」が開催されました。今年の「九州宇宙ビジネスキャラバン」は、一般社団法人九州みらい共創(以下:九州みらい共創)が主体となり、九州・山口地域における宇宙産業振興の機運醸成、宇宙開発利用の裾野拡大などを目的として行われました。九州みらい共創は九州にゆかりある宇宙関係者5名を中心に昨年2024年の「宇宙の日」9月12日に設立され、QPS研究所 CEO 大西も理事の一人として携わっています。

第三回目となる今回は、「内之浦」「種子島」と2つのロケット射場を有する鹿児島を舞台に、九州みらい共創と鹿児島県の共催で、「鹿児島の『宝』 宇宙を、稼ぐ力に変える。」というキャッチコピーのもと、宇宙産業に携わる様々な可能性がギュッと詰まったイベントとなりました。当初の300名の参加枠を優に超える約600名もが来場し、大盛況に終わった当日の様子を一部ご紹介いたします。

10:30、鹿児島県知事 塩田康一氏(以下:塩田氏)による開会の挨拶が行われ、全国で唯一2つのロケット発射場を有する鹿児島県において産官学の連携により宇宙人材の育成と、九州及び日本の宇宙産業の発展に寄与していきたいと、鹿児島発の想いが会場に響き渡りました。
塩田氏の熱いメッセージを皮切りに、フォーラムスタート。今回のフォーラムは、宇宙産業と宇宙ビジネスに携わるスピーカーによる3つのキーノート、宇宙産業を様々な角度から話し合う5つのトークセッション、産学官のそれぞれの視点から発せられるアクティビティレポート、さらに宇宙産業を支えるスポンサーによるプレゼンテーションと、まる一日聞きどころ満載のプログラムで構成。5つのトークセッションでは、九州みらい共創の理事がそれぞれモデレーターを務めました。

「九州のものづくりの強みと世界を目指した次の一手」と題したSession03では、スピーカーに株式会社エルム 取締役 第2開発部長/株式会社マイクロラボ 代表取締役 和田健吾氏、京セラ株式会社 ファインセラミック事業本部 経営企画部 ビジネスディベロップメント1課 課責任者 神浦真亜氏、次世代宇宙システム技術研究組合(NeSTRA)代表理事 山口耕司氏、宇宙航空研究開発機構 研究開発部門 研究戦略部 計画マネージャ 柳瀬恵一氏の4名を迎え、大西がモデレーターを務めました。

大西は、これまで衛星づくりに携わっていた自身の経験を踏まえ、宇宙開発にはいろいろな関わり方があり、本セッションでは宇宙産業においても様々な領域から参入できることを知ってもらいたいと展開。QPS-SARの開発・製造もいろんなものづくりとの連携で成り立っていることを示すイラストをスクリーンに投影し、4名のスピーカーとの関わり合い及び各スピーカーの手掛ける事業を紹介。セッションでは、宇宙産業のサプライチェーンは多いようで少なく、日本国内は需要に対する供給に各社が四苦八苦している話題もあり、世界で埋もれぬよう様々な分野・領域と協同でやっていきたいとの議論が繰り広げられました。大西は、未参入の企業の方々に向けて「宇宙産業への参入の余地は十分にあると感じる一方、衛星に限らず地上局などの設備や電子部品、コンポーネントなど、宇宙と言ってもさまざまに入口はあるので、自らの強みを活かせる領域や連携先をよく検討することが重要ではないか」と述べ、さらに九州みらい共創の理事として、「九州はものづくりの層の厚さがある。その力で宇宙産業を九州から日本・世界へ広がって欲しい」と締めくくりました。
フォーラム会場と同じフロアにある大ホールでは、エキシビションが催されており、トータル21のブース展示及び各県等ポスターセッションが行われました。「九州宇宙ビジネスキャラバン」の名のとおり、主として鹿児島県内企業・組織及び協賛社などが、各ブースでイベント参加者との宇宙ビジネスのマッチアップに花を咲かせておりました。

また、フォーラム会場では14:15から行われたキーノートに、Axiom Space, Inc. 宇宙飛行士・最高技術責任者 若田光一氏による「宇宙産業の新時代:民間の力で広がる無限のチャンス」と題したスピーチが行われ、会場内には多くの学生たちも詰めかけ、制服姿の聴講者が熱心に耳を傾けている様子が印象的でした。
九州、薩摩の元に九州内外から宇宙ビジネスパーソンが集った今回の九州宇宙ビジネスキャラバン。宇宙産業を様々な視点で深堀りした内容構成となっており、8時間に及ぶフォーラムはあっという間にClosing Remarksの時間を迎えました。壇上の九州みらい共創 代表理事 上村俊作氏からは、今回鹿児島に集結した熱意やアイデアが九州における宇宙産業をさらに盛り上げるきっかけになれば、と本イベントに携わった全ての皆さまへ感謝の言葉が送られました。さらに上村氏は「最後にお願いがあります」と、皆さんができる宇宙への関わりへの第一歩として今日あったことを周囲に拡散し、参加者一人一人が宇宙産業の輪を広げてほしいと締めくくりました。

フォーラム後は参加者の熱冷めやらぬまま、会場を鹿児島県の老舗百貨店 山形屋に移し、MeetUpが行われました。参加希望者多数のため、満員御礼となったMeetUpでは、聴講者・登壇者・運営スタッフ・スポンサー、それぞれ宇宙産業への想いを携えた皆さまがフランクにご歓談を楽しまれていました。懇親会場が賑わいを見せる中、次回2026年九州宇宙ビジネスキャラバンの開催都市候補の発表もありました。

回を追うごとに、九州に加えて、全国からの参加者が募る本イベントは、日本の宇宙産業を盛り上げようとする同志たちの共通の志を真に感じる一日となりました。九州、福岡に拠点を置くQPS研究所も、九州の熱い結束力に力をいただき、よりいっそう九州から日本の宇宙産業発展に貢献できればと思う所存です。年齢・職業問わず、宇宙にワクワクする・したい人材を応援すべく、当社も宇宙のワクワクを届けられるよう邁進してまいります。
共催:鹿児島県・一般社団法人みらい共創
