Fukuoka Space Business Meetup 第1回『 JAXA ・ QPS 研究所が語る!人工衛星「ものづくり」の最前線』

2025年11月18日(火)、第1回「Fukuoka Space Business Meetup」が開催されました。「Fukuoka Space Business Meetup」は福岡県宇宙ビジネス研究会が主体となり、県内外の地域産業の宇宙関連分野への新規参入を促進し、宇宙ビジネスチャンスの拡大を目的としたミートアップイベントです。イベントでは宇宙産業関係者や宇宙ビジネスに精通するフロントランナーの登壇、さらに宇宙ビジネスに興味がある方々へネットワーク構築の場を提供。第1回目のテーマ「人工衛星『ものづくり』の最前線」にQPS研究所も参加してまいりました。
「宇宙ビジネス」を軸に据えた本イベントは、福岡市内のビジネス街・天神に位置する「ONE FUKUOKA BLDG.」を会場に18:00よりスタート。当日は現地とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。現地では参加定員の60名を優に超える80名以上が来場し、会場には急遽座席が増設され、イベント開始前より皆様の宇宙ビジネスへの関心の高さを伺い知ることとなりました。

第1回目のテーマの通り、登壇は「人工衛星(ものづくり)」をメインに宇宙産業に携わるフロントランナーが集結。JAXAからも2名の登壇者が来福され、ものづくりに関する公的支援や連携事例が紹介されました。まずは、JAXA 総務部総務課 谷口大祐氏(以下:谷口氏)より、JAXAと日本国内の宇宙関連企業との様々な付き合い方がなされている事例をもとに、各種プログラムや支援についての詳細を説明いただきました。さらに、大学や教育機関における非宇宙分野の方々とも宇宙開発プロジェクトが進行中であると、谷口氏は未来を担う子ども達へのアプローチも考慮しており、夢とリアリティを伝えていきたいと述べました。
次にJAXA 第一宇宙技術部門 技術試験衛星9号機 ファンクションサブマネージャ 板橋孝昌氏(以下:板橋氏)より、JAXAにおける衛星開発プロジェクトと、ものづくり企業との連携の具体例が紹介されました。スクリーンに投影されたJAXAの衛星のミッション並びに開発・実証の技術の数々について、板橋氏より専門性の高い用語を交えた紹介がされると、興味津々でスクリーンを写真に収める参加者も多数見受けられました。最後に板橋氏は、JAXAは常に新しい次世代ミッションを検討しており、宇宙産業への参入を検討している方には是非ともざっくばらんな話からでも一緒に初めていければ、と会場の皆さまにメッセージが送られました。

JAXAのお二方の登壇後は、QPS研究所 代表取締役社長 CEO 大西俊輔(以下:大西)による、「九州の宇宙産業ポテンシャルと見据える未来」と題した特別講演が行われました。大西は、自社の小型SAR衛星「QPS-SAR」の開発には20年以上培われた九州のものづくり企業との連携が不可欠であり、共に考え、ものづくりをしてきた積み重ねがあって今があると述べました。さらに現在までに打ち上げたQPS-SARの紹介をし、スピード感あるプロジェクト進行の実現はここ九州の地でのリレーションがあってこそで、今後もパートナー企業と共に九州の地から宇宙産業を発展させていきたい、と締めくくりました。
会場では10分の休憩を挟んだのち、「人工衛星(ものづくり)」プレイヤー4名によるトークセッションへと移りました。「宇宙ビジネス参入に向けた、はじめの一歩」と題し、スピーカーはJAXA 板橋氏、QPS研究所のパートナー企業 オガワ機工株式会社 副社長 伊藤慎二氏(以下:伊藤氏)、QPS研究所 ファウンダー 八坂哲雄(以下:八坂)の3名。そして大西がモデレーターを務めました。

QPS-SARプロジェクトにおけるパートナー企業との連携が生まれた背景を知ってもらい、今回参加いただいた皆様に今後の宇宙ビジネス参入のきっかけとなれば、という大西の想いのもと、トークセッションがスタート。
今回のスピーカー陣並びに大西は、それぞれ「九州でのものづくり」で繋がっている4名です。伊藤氏と八坂と大西は、今現在もQPS-SAR開発に携わっているのはもちろんですが、板橋氏は九州大学で八坂研究室の学生だったのです。実は当時、学生が携わる衛星プロジェクトは世界から見ると日本は非常に遅れていたそうです。日本の大学はミッション考案を得意としていましたが、実際に衛星を作ったことがない。そこで八坂は、衛星作りに実績のあるアメリカの大学との共同プロジェクトを立ち上げました。アメリカの大学に衛星を作ってもらい、自分たちが考えたミッションを搭載するプロジェクトは順調に進行。しかし、アメリカのシステムを日本に輸送しようとした矢先、大きな壁が立ちはだかったそうです。
「ITAR※に引っかかったんです。アメリカの衛星技術は外に出しちゃいかんってね。だからどうしてもアメリカから衛星が来ない」と、壇上の八坂は当時のもどかしさを思い出している様子でした。そんな時、九州大学で学生の衛星設計プロジェクトの指揮をとっていた八坂に、『衛星自体も自分たちでつくってしまいましょう!」と提案したのが板橋氏でした。「面白いもんでね、板橋君が九州で衛星を作ろうと言ったんだよ」との八坂の発言に大西も「その話は本当に初めて知りました!」と、会場からも「おー」「へぇ~」と感嘆の声が漏れておりました。
こうして九州大学の学生衛星プロジェクトの初代プロジェクトマネージャーを板橋氏が務めたそうです。八坂は衛星製造をスタートしようとしましたが、「学生だけでは作れない。どうやるか」と考えた末に、九州の地場企業に参加してもらおうと「あなたの技術を宇宙に」と九州中に声を掛けて回りました。実はこれが、今日のQPS研究所とパートナー企業との連携が生まれたきっかけだったのです。
壇上では当時の学生衛星プロジェクトやパートナー企業とのやり取りを各人が思い出し、ともすればあまりの盛り上がりにトークテーマから横道に逸れそうになる場面もしばしば。4名の和気あいあいとしたクロストークに聴講者の笑みがこぼれます。

「宇宙は逃げません。宇宙分野では様々なことにチャレンジできるので、色んな分野の方と意見交換しながら宇宙産業に興味を持っていただけると嬉しいです」との大西のメッセージで約1時間に及ぶトークセッションは終了となりました。
壇上にいる4名それぞれが「衛星のものづくり」で一つに繋がったトークセッションは、微笑ましい軽口もチラホラ飛び出すなど、世代を超えた同窓会のような和やかな時間が感じられました。
その後は、参加者たちの交流会の時間へと移り、今回の登壇者はもちろん、多様な分野で活躍される福岡県宇宙ビジネスプロモーター達との歓談が行われました。会場では、あちらこちらでフランクな会話が弾んでおり、45分の有意義な交流時間はあっという間に過ぎ、閉会後は名残惜しく会場を後にする参加者も多く見受けられました。
満員御礼の大盛況で幕を閉じた、第1回「Fukuoka Space Business Meetup」。QPS研究所も「九州に宇宙産業を根付かせる」というミッションのもと、今後もさらに宇宙産業の発展へ寄与していきたいと考えています。
最後に、主催の福岡県宇宙ビジネス研究会様、そしてイベント運営を担う株式会社 Zero-Ten Park様と一般社団法人 SPACETIDE様には御礼と共に、本イベントシリーズの華やかなる完走をお祈り申し上げます。
※:ITAR(International Traffic in Arms Regulations)…「国際武器取引規制」防衛関連の物品およびサービスの輸出入を規制する米国政府の規則。
〈Fukuoka Space Business Meetup〉
主催:福岡県宇宙ビジネス研究会
