第三者割当増資のお知らせ
宇宙ベンチャーQPS研究所がシリーズA投資ラウンドで 九州最大規模となる総額23.5億円を調達
〜世界初、24時間天候を問わずに高精度な地球観測が可能な小型レーダー衛星の実現へ〜
世界初の地球観測用小型SAR(合成開口レーダー(1))衛星の開発に取り組む株式会社QPS研究所(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:大西俊輔、以下「QPS研究所」)は、株式会社産業革新機構(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:勝又幹英)とスパークス・グループ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:阿部修平)を運営者とする未来創生ファンドをリード投資家とし、リアルテックファンド、三井住友海上キャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社(次世代企業成長支援1号ファンド)、株式会社FFGベンチャービジネスパートナーズ、三菱UFJキャピタル株式会社、株式会社ドーガン・ベータ、大分ベンチャーキャピタル株式会社を引受先とする総額23.5億円の第三者割当増資を実施いたしました。この金額はSeries Aの資金調達としては九州最大規模(2)の金額となります。
(1) SAR (合成開口レーダー):電波を使用して地表の画像を得るレーダー。雲や噴煙を透過し、昼夜を問わず観測することができる点が特長。
(2) 弊社独自調査による
福岡県福岡市生まれの宇宙ベンチャーQPS研究所は、九州大学の名誉教授陣と若手技術者・実業家が幅広い経験と斬新なアイデアをもとに、世界トップレベルの衛星情報ビジネスを創造する会社です。この度、QPS研究所は天候に左右されず24時間観測可能な小型SAR衛星を『世界初』で開発する目処をつけました。この小型SAR衛星により世界規模で獲得が可能となる観測画像は、今後のAI(ディープラーニング、機械学習)等を駆使した分析技術との相乗により大きく市場が成長すると考えられており、米国を筆頭に世界中の国々のベンチャーが開発にしのぎを削っていると言われております。
これまで地球を観測するための人工衛星分野においては可視光を使用する光学(カメラ)衛星(3)が主流であり、小型・高分解能・低コストの光学衛星は世界的にも数多く存在していますが、それらでは地球上の約7割を占める夜間や雲の存在する地域を観測することが困難でした。また、夜間や雲の存在する地域でも観測することのできるSAR衛星も存在していますが、これまでSAR衛星は大きなアンテナを必要とし、多量の電力を消費するため、小型化が困難であり、数百kg〜数トンの重量を持つ大型で高コストのものしか存在しませんでした。
(3) 光学衛星:可視光などにより地表の画像を得る人工衛星。
QPS研究所は、これまでの豊富な衛星開発の経験を生かして、材料の弾性変形だけを利用して機械的可動部がない展開アンテナを開発しました。これにより収納性が高く、軽量、大型のアンテナを実現し、電力とアンテナのハードルを乗り越え、従来の20分の1の質量の100kgへの軽量化、コストも従来の約100分の1 (4)を実現できる目処をつけました。今回開発した展開アンテナは、弊社と同じく合成開口レーダーを研究されております千葉大学にも納入されております。
(4) 従来の数百億円の大型衛星と比較して数億円にコストダウン
QPS研究所は2005年に当時九州大学大学院工学府航空宇宙工学の教授であった八坂氏(現取締役)、桜井氏(現技術顧問)、と三菱重工業株式会社でロケットを開発していた舩越氏の3名により、それまで九州大学で研究された宇宙技術の地場企業への伝承ならびに九州に宇宙産業を根ざすべく、創業されました。また、創業メンバーである八坂氏、桜井氏、舩越氏が2000年代初頭より九州中を行脚し、200社以上に声をかけ、その後育成してきた約20社の九州の地場企業が今では一つの宇宙クラスターとして、QPS研究所の衛星の開発を支えており、この度のアンテナの開発は地場企業の技術力、製造力の結晶と考えております。現在の宇宙クラスターは北部九州が中心ではありますが、九州全域、そして日本全国へと広げていくことで、更なる日本の宇宙産業の強化に貢献していきたいと考えております。
今回調達した資金により、QPS研究所は2019年前半までに独自開発のアンテナを搭載した世界初の地上分解能 1mを実現する100kg以下の小型SAR衛星の打ち上げを計画しています。さらに長期的には、36機のSAR衛星体制を構築し、世界中のほぼどこでも約10分以内に撮影することのできる世界を構築し、継続的に得られる画像データとAIを組み合わせることにより、インフラ管理、農業、海洋・漁業等の効率化、災害管理などに貢献することを目指しています。